研究課題
骨格筋は人体で最大の組織であり、エネルギー代謝や糖取り込み、運動において重要な役割を果たす。核内受容体Retinoid X Receptors (RXR)のサブタイプの一つであるRXRγは骨格筋に高発現するが、全身の糖・脂質代謝における骨格筋RXRγの意義は不明である。我々は既に、核内受容体RXRγを骨格筋特異的に過剰発現するマウス(RXRγマウス)を作出し、RXRγマウスは血糖値が低下することを報告した。本研究では、RXRγマウスを用いて、肥満により誘導される糖代謝の悪化における骨格筋のRXRγの機能的意義を検討した。通常食で飼育したRXRγマウスは骨格筋において、糖輸送担体であるGlut1の発現が増加しており、糖取り込みの増加が認められた。遺伝性肥満KKAyマウスとの交配により肥満を誘導するとRXRγマウスは対照マウスと比較して、肥満による糖代謝の悪化が著しく抑制された。更に、RXRγマウスでは肥満により誘導される脂肪肝と肝臓におけるインスリン感受性の改善が認められた。以上より、RXRγマウスでは、骨格筋における糖取り込みの増加が全身の糖代謝を改善すると考えられ、肥満により誘導される糖代謝障害において骨格筋RXRγの創薬ターゲットとしての可能性が示唆された。
すべて 2010 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)
Biochem.J
巻: 427 ページ: 171-178
Obesity
巻: 18 ページ: 314-321
Journal of Biological Chemistry
巻: 285 ページ: 27652-27663
アデイポサイエンス
巻: 7 ページ: 107-112
http://www.tmd.ac.jp/mri/prm/index.html