研究概要 |
本研究は、放線菌の産生する異常プリオン分解酵素(NAPase, E77)の作用機序の解明および新規酵素の探索について研究を行い、以下の2つの成果を得た。 1. 作用機序の解明 大腸菌を宿主とした活性型異常プリオン分解酵素(NAPase)遺伝子の発現系を構築し、GST融合発現プラスミドpET32を用いたプロ領域との共発現による活性型の組換えNAPaseの大量取得に成功した。活性型の大量取得には、インビトロリフォールディングが必要であり、最適条件を検討した結果、リフォールディング緩衝液(50mM Tris-HCl buffer at pH 7.0, 0.5M(NH_4)_2SO_4, 1mM CaCl_2, 1M L-arginine, 5mM 2-mercaptoethanol)を用いた希釈法とした。現在本発現・リフォールディング系を用いた部位特異的変異法、およびランダム変異法を用いて様々な部位の改変を行い、異常プリオンに対する特異性の向上した変異体のスクリーニングを試みている。 2. 新規酵素の探索 異常プリオン分解能を有する新規酵素のスクリーニングを行った結果、新たに土壌由来の好アルカリ性細菌の産生するプロテアーゼが難分解性のケラチン分解能をNAPaseおよびE77と同等レベル保有することを明らかにした。本酵素の簡易精製を行った結果、推定分子量は18,500Da、至適pH11のアルカリセリンプロテアーゼの一種であることが明らかとなった。現在は、構造解析および難分解性タンパク質分解能の解析を進めている。
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