S.viridochromogenesおよびS.griseusの発芽抑制物質の解明 昨年度germicidinを検出したS.viridochromogenesと検出できなかったS.griseusの胞子を大量に集め、その抽出物を、発芽抑制活性を指標に、精製した。その結果、S.viridochromogenesでは酢酸エチル可溶中性画分と酸性画分に発芽抑制活性が認められ、主要な活性物質は中性物質であることが明らかになった。また、S.griseusは酢酸エチル可溶中性画分が発芽抑制活性を示した。既知の発芽抑制物質hypnosinとgermicidinはいずれも酸性物質であることから、中性の新規発芽抑制物質の存在を2種類の菌で確認できたことは意義深い。 両菌の酢酸エチル可溶中性画分の精製を進めた結果、発芽抑制物質はクロマトグラフィーで同じ画分に溶出されることが明らかになり、同一の発芽抑制物質が作用している可能性が示唆された。また、S.viridochromogenes抽出物の部分精製画分はgermicidinより低濃度で発芽抑制活性を示した。 一方、S.viridochromogenesの酸性画分に含まれる活性物質は比較的高極性であり、germicidinとは異なると考えられた。本菌からは昨年度germicidinを検出しているが、この結果はgermicidinが発芽抑制物質として働いている可能性は低いことを示すものであり、S.viridochromogenesの真の発芽抑制物質の解明に興味が持たれる。
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