研究課題
農業に深刻な被害をもたらしているオロバンキやストライガなどの根寄生雑草の防除を目的として、根寄生雑草の種子発芽刺激活性を有する根圏情報物質ストライゴラクトンをモデルに構造活性相関研究の新展開を図った。オロバンキが広葉作物を宿主として地中海沿岸を中心に分布しているのに対し、ストライガはアフリカを中心に分布している。ストライガによる被害は7-13億米ドルと試算されており、ストライガは病原茵、害虫、鳥を上回る、食糧生産を阻害するアフリカ最大の生物的要因と考えられている。根寄生雑草は宿主から独立しては生きられないため、発芽には温度と湿度に加えて、化学シグナル(発芽刺激物質)を要求する。そこで、宿主の存在しない畑に処理して根寄生雑草種子を強制的に発芽させ自殺に追い込む根寄生雑草種子自殺発芽誘導剤の開発を行った。ストライゴラクトンのマイケル受容体能を有する部分は、そのイミノアナローグが活性を発現することを見出したことで必ずしも発芽刺激活性発現に必須ではないという創薬デザイン上の大きなブレークスルーを得たことを手がかりに構造活性相関研究を行ったところ、オキシム誘導体、ホスホネート誘導体、およびカーバメート誘導体など全く新規な発芽刺激活性を有する化合物を見出した。このうち、ホスホネートおよびカーバメート誘導体は、天然ストライゴラクトンの環境中での不安定性を改善できることが予想されるためさらに高活性なそれらの誘導体の創製を目指して研究を展開している。また、活性発現機構の解明のため、受容体探索に有用な分子プローブを、見出された高活性化合物をモデルに設計、合成している。
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Bioscience, Biotechnology, Biochemistry 7 1
ページ: 2781-2786