研究課題
本年度は延命誘導物質により発現が抑制されるインスリン様遺伝子ins-35の機能解析・発現パターンの解析を行った。【遺伝子破壊線虫を用いた機能解析】TMP/UV法により作出されたins-35遺伝子破壊線虫(第二エクソンを含む664塩基対を欠失)を用いて機能解析を行った。ins-35遺伝子破壊線虫では延命誘導物質添加による幼虫休眠率が大幅に上昇した。この上昇率はins-7遺伝子破壊線虫(INS-7はアゴニストとして機能)を遙かに凌駕する。さらに、ins-35導入によりこの表現型が相補され、過剰発現により幼虫休眠率が大幅に低下した。よってINS-35は幼虫休眠を抑制する主たるインスリン様ペプチドであると考えられる。一方、ins-35遺伝子破壊線虫は成虫寿命に変動を示さなかった。よって、INS-35は幼虫休眠のみを制御すると考えられる。【発現パターンの解析】プロモーター領域4kbを含むins-35にgfpを連結したものを線虫に導入し、蛍光顕微鏡下で各生育ステージおける発現パターンを解析した。1齢幼虫から成虫までの期間、INS-35の発現は頭部神経ならびに腸組織において観察された。幼虫休眠期におけるINS-35の発現は腸管でのみ観察され、頭部神経における発現は認められなかった。一方、幼虫休眠を打破する際、頭部神経においてINS-35の発現が認められた。よって、INS-35は頭部神経において幼虫休眠を制御すると考えられる。
すべて 2011 2010 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)
Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry
巻: 74 ページ: 2361-2365
http://staff.muses.tottori-u.ac.jp/kawano/