研究概要 |
農産物より得られる機能性脂質であるスフィンゴ脂質(セラミド、セレブロシドなど)の消化管に与える影響について、特に消化器官への抗炎症、実際の疾病として大腸炎に対する効能について、薬剤投与(デキストラン硫酸ナトリウム以下DSS)による実験動物系を用いて研究し、これらの脂質の健康機能性を解明する。 【方法】試験食は植物(トウモロコシ)由来のセレブロシドをAIN-76配合飼料に添加して作製し、DSSはBALB/c雌マウスへ飲料水に添加し投与した。10日~2週間の試験飼育の後、大腸を摘出・固定・包埋の後切片を作製し、ヘマトキシリン・エオシン染色し形態を顕微鏡下で観察し,腸管損傷の定量的なマーカーとして,Mucinの異同についてはウェスタンブロット法解析した.また、細胞実験として消化菅上皮モデル細胞である分化Caco-2細胞をTNFαで刺激(消化菅炎症の細胞モデル)した時のサイトカイン放出に与える、スフィンゴ脂質の代謝物の効果も検討した。 【結果】その結果、DSS投与群への植物由来セレブロシド投与によって、試験期間中の体重の減少は有意に抑制されるとともにDSS投与中断後の快復を早める傾向が見いだされた.また,腸管切片の観察より,大腸絨毛の傷害が緩和される傾向が認めらるとともに,Mucin量がセレブロシド投与によって改善された.以上の結果より,食餌性セレブロシドは,DSS投与により大腸炎症緩解効果が認められた.細胞実験では、炎症型ケモカインであるIL-8がセレブロシド並びにその代謝物(セラミド、スフィンゴイド塩基)で有意に増加していた。次年度以降さらなる詳細な分析が必要であろう。
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