・破骨細胞特異的ビタミンD受容体(VDR)遺伝子欠損マウスの作出および解析 破骨細胞特異的CreリコンビナーゼノックインマウスとVDR遺伝子座へのloxP配列導入マウスであるVDRfloxマウスを交配し、その後3世代交配を続けることにより、目的の破骨細胞特異的VDR遺伝子欠損マウスを作出した。そこで経時的に体長および体重を測定したところ、野生型と破骨細胞特異的VDR遺伝子欠損マウスとの間で差は認められなかった。しかし、成長期後の破骨細胞特異的VDR遺伝子欠損マウスにおいて、野生型と比較して大腿骨の骨量および骨密度の増加が認められた。また、大腿骨遠位部のμ-CT画像を測定したところ、野生型と比較して破骨細胞特異的VDR遺伝子欠損マウスにおいて海綿骨の増加が認められた。そこで骨組織の切片を作成したところ、野生型と比較して破骨細胞特異的VDR遺伝子欠損マウスにおいて破骨細胞数の減少が認められた。しかしながら、骨組織における破骨細胞関連遺伝子の発現量を検討したところ、Nfatc1、Dcstamp、Ctskにおいては、野生型と破骨細胞特異的VDR遺伝子欠損マウスの間で差は認められなかった。そこで、破骨細胞初代培養系において、活性型ビタミンD3の効果を検討したところ、活性型ビタミンD3により破骨細胞分化が阻害されたが、その阻害効果は破骨細胞特異的VDR遺伝子欠損マウス由来の破骨細胞の方が小さいものであった。 以上より、破骨細胞におけるVDRは、破骨細胞分化に大きく寄与していることが明らかとなった。
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