研究課題
生体内で発生する活性酸素、特に生体内で発生する一酸化窒素とスーパーオキシドアニオンから生成し、発ガンに関係しているペルオキシナイトライトが注目されている。その消去に優れているカロテノイドの機構の解明が遅れている。われわれは、アスタキサンチンおよびβ-カロテンがペルオキシナイトライトと反応しニトロ化することを世界で初めて明らかにした。ところが、リコピンの場合ニトロ化の生成物が得られないことから、カロテノイドのニトロ化の機構にどのような構造が関係しているかの解明研究を行った。リコピンに酸素が付加したエポキシ体、1,2-エポキシリコピンとカロテノイドが左右対称の構造でないルテインとペルオキシナイトライトの反応を行った。その結果、酸素官能基を付けた1,2-エポキシリコピンの反応では、ニトロ体が得られなかったのに対して、ルテインではニトロ化体が得られた。ルテインの場合興味あることに左右の環構造に関係なくニトロ化が起こったことである。以上の結果を、沖縄で開催された第15回国際カロテノイド学会および博多で開催された日本農芸化学会で報告し、現在論文発表の準備をしている。今年度の結果を考察すると、カロテノイドとペルオキシナイトライトの反応におけるニトロ化が起こるかは、鎖状の共役二重結合の数が重要であることが分かった。つまり、9個のカロテノイド、アスタキサンチン、β-カロテンおよびルテインではニトロ化が起こったのに対して、11個のカロテノイド、リコピンおよび1,2-エポキシリコピンでは生成しなかったことである。このことを更に明らかにするため、次年度は、さらに構造とニトロ化の関係を明らかにするためゼアキサンチン、フコキサンチンなどの反応を行う予定である。
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Bioscience Biotechnology and Biochemistry 72巻
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Carotenoid Science 13
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