II型味細胞におけるカルシウムチャネルの確認 昨年度に引き続き電位依存性カルシウムチャネルの存在をカルシウムイメージング法、II型味細胞をガストジューシン抗体染色を行って、その関連性を見た。II型味細胞におけるカルシウムチャネルの確認は、(1)カルシウムチャネルの存在を、カルシウムイメージング法を用いて調べる。マウス舌から味細胞を単離し、遊離カルシウム指示薬Fluo4を細胞内に導入し、細胞外カリウム濃度を変えることによって細胞膜電位を脱分極方向に変化させる。電位依存性のカルシウムチャネルが存在すれば開口し、細胞内カルシウム濃度が上昇する。(2)単離した味細胞をカフェインで刺激しカルシウムイメージング後、同細胞に免疫染色を行う。用いるのは、市販されているガストジューシン抗体、イノシトール3リン酸受容体(IP3R3)抗体を用いる。市販を用いるのは、味関連物質抗体として世界的に信頼性を得ているものを用いることで確認作業をスムーズに進めるためである。その結果、膜電位変化を変化させたときに細胞内カルシウムが上昇する細胞は、カフェイン応答をする細胞が少なかった。また、ガストジューシンで染色された細胞にカルシウムチャネルの存在を示す結果は得られなかった。 味細胞のATPに対する応答解析(1)ATPで単離味細胞を刺激しカルシウムイメージングを行う。カルシウムイメージングを行った細胞にP2Y1受容体(市販)とII型マーカー分子あるいはIII型マーカー分子の抗体で免疫染色し、味細胞タイプの同定を試みた。その結果、やはりATPで応答する細胞は少なく、III型細胞にATPが情報伝達物質として働いている可能性が少ないことが示唆された。
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