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2009 年度 実績報告書

高齢者に多発するビタミンB12欠乏性神経障害発症の分子メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 20580132
研究機関鳥取大学

研究代表者

渡辺 文雄  鳥取大学, 農学部, 教授 (30210941)

キーワード食品学 / 栄養学 / 生理活性 / 老化 / 脳神経障害 / ビタミンB12 / 線虫 / 代謝異常
研究概要

ヒトを含む哺乳動物のビタミンB_<12>(B_<12>)の生理機能やB_<12>欠乏症の発症メカニズムの解明にはラット等の実験小動物が広く用いられてきたが,未だB_<12>欠乏性代謝異常症の詳細な発症メカニズムについて不明な点が多く残されている.そこで,個体発生機構・全ゲノム情報・ヒトの疾患遺伝子と相同性の高い遺伝子群の存在など生命機能の情報が豊富で,ヒトのモデル生物として広く用いられている線虫(Caenorhabditis elegans)を用いたB_<12>欠乏症モデル動物の調製法を確立し,食餌性B_<12>欠乏が線虫の脂質およびアミノ酸代謝に及ぼす影響を検討した.その結果,B_<12>欠乏線虫の産卵数はコントロール線虫に比べ著しく減少し,生育の遅延が観察された.またB_<12>欠乏の指標である細胞内メチルマロン酸量が顕著に上昇し,B12依存酵素メチルマロニルCoAムターゼ(MCM)とメチオニンシンターゼ(MS)活性が著しく減少した.B_<12>欠乏条件下において形態異常の線虫が約16%の頻度で観察され,著しい運動機能障害を呈していた.このB_<12>欠乏線虫は総脂質ならびにリン脂質や中性脂肪量がコントロール線虫に比べ顕著に増加していたが,奇数鎖脂肪酸の蓄積は認められなかった.一方,B_<12>欠乏線虫でリン脂質のPE/PC比が6倍以上に上昇し,生体内メチル化反応の指標であるSAM/SAH比は顕著に減少していた.B_<12>欠乏線虫では,MS活性の低下から生体内メチオニンが減少し,ホモシステイン・シスタチオニンが顕著に増加していた.またMCM活性の低下からスレオニン・バリン・ロイシン・イソロイシンが有意な増加を示した.さらに神経機能に関与するポリアミンの前駆体であるオルニチンが顕著な増加を示したことから,上述の運動機能障害との関連性が示唆された.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2009

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] ビタミンB_<l2>と高齢者2009

    • 著者名/発表者名
      渡辺文雄
    • 雑誌名

      ビタミン 87

      ページ: 369-373

  • [学会発表] ビタミンB_<l2>欠乏線虫(C.elegans)の代謝異常について2009

    • 著者名/発表者名
      美藤友博, 大塚賢二, 薮田行哲, 河野強, 中野長久, 渡辺文雄
    • 学会等名
      ビタミンB研究協議会・第418回例会
    • 発表場所
      京大会館
    • 年月日
      2009-11-28
  • [学会発表] ビタミンB_<l2>欠乏が線虫(Caenorhabditis elegans)の脂質代謝に及ぼす影響2009

    • 著者名/発表者名
      美藤友博, 薮田行哲, 河野強, 中野長久, 渡辺文雄
    • 学会等名
      日本栄養・食糧学会中国・四国支部・第41回大会
    • 発表場所
      鳥取大学
    • 年月日
      2009-11-07
  • [学会発表] ビタミンB_<l2>欠乏による脂質代謝異常が線虫(Caenorhabditis elegans)に及ぼす影響2009

    • 著者名/発表者名
      美藤友博, 薮田行哲, 河野強, 中野長久, 渡辺文雄
    • 学会等名
      日本ビタミン学会・第61回大会
    • 発表場所
      京都学園大学
    • 年月日
      2009-05-30

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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