これまでに研究代表者は、微粉砕コンニャクグルコマンナン(PKGM)の摂食がアトピー性皮膚炎モデルであるNC/Ngaマウスの病態進行と高IgE産生、および病態局所における炎症性細胞浸潤と起炎症性サイトカインの高生産のいずれも顕著に抑制することを見いだしている。本年度ではNC/Ngaマウスがしばしばアトピー性皮膚炎に合併して自己免疫疾患様症状を呈するとの知見に鑑み、PKGMが本モデルマウスの自己免疫応答に及ぼす影響について調査した。その結果、PKGMの摂食により同マウスの皮膚炎病態進展に付随して認められる脾腫、ならびに所属リンパ節の腫脹がいずれも著明に抑制されていることが判明した。一方、微粉砕を施していないKGMを摂食させた対照群では当該効果は認められず、KGMパウダーの粒子経がこれらの自己免疫様表現型の抑制に重要であることが示唆された。またPKGM摂食群では、二本鎖DNAおよびrheumatoid factorに特異的な自己反応性IgG抗体価の上昇も顕著に抑制されていることが明らかとなった。更に同群では、自己免疫疾患を正に調節しうるサイトカインであるB cell-activating factor belonging to the TNF family(BAFF/BLyS)の高産生も非発症対照群のそれとほぼ同等のバックグラウンドレベルにまで抑制されていた。これらの結果から、PKGMがアレルギー性炎症のみならず自己免疫疾患においても予防作用を示しうること、また本食品成分が有する多彩な抗アレルギー効果が上記のごとく、広範な抗炎症および免疫抑制作用をも内包して発揮されている可能性が示唆された。
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