クロレラ由来の葉緑体局在型NADPH依存性チオレドキシン還元酵素(CvNtrC)が遺伝子ならびにタンパク質レベルで低温誘導性であることを証明し、さらにin vitro pull-down assayにより、本酵素と共同して作用するペルオキシドレドキシン(CvPrx)を単離し、N-末端アミノ酸配列を決定した。本タンパク質をコードするCvPRX遺伝子については既に他の研究室でクローニングされ、大腸菌を用いた組換え成熟型タンパク質(mCvPrx)も作製されていたことから、これらについて分与を受け、研究を進めた。さらに、CvNTRC遺伝子についても大腸菌で組換え成熟型タンパク質(mCvNtrC)を作製した。これらのmCvNtrCとmCvPrxタンパク質が共存することで過酸化物合成活性を示すことを明らかにし、さらに、これらのタンパク質が複合体を形成することを示した。また、二つのタンパク質をコードする遺伝子を酵母に導入発現させると、mCvNTRC単独発現株ならびにmCvNTRC/mCvPrx共発現酵母において耐凍性、酸化ストレス耐性、耐熱性の向上が確認され、これらの遺伝子がストレス耐性向上に重要な役割を果たすことを示した。また、クロレラのNTRC 遺伝子破壊のためにクロレラ形質転換法の確立を行った。さらに、floral dip法を用いてこれらの遺伝子を単独または同時にシロイヌナズナに導入した。
|