平成20年度は主に脂肪・筋肉細胞を基に抗メタボリックシンドローム評価用in vitro培養細胞評価系を構築し、構築した評価系を用い、候補の機能性食品群より抗メタボリックシンドローム効果の検索を行った。本研究課題の遂行に当たっては、脂肪細胞の機能研究に広く用いられているマウス前駆脂肪細胞3T3-L1、筋肉細胞の機能研究に広く用いられているマウス筋芽細胞C2C12、ラット筋芽細胞L6などを使用した。 マウス3T3-L1前駆脂肪細胞を用い、脂肪細胞分化に及ぼす発酵乳ケフィアの効果を検討したところ、発酵乳ケフィア由来水溶性画分中に細胞内脂肪蓄積量を減少させる活性の存在がOil-red-0染色により確認された。この現象が脂肪細胞分化抑制効果であることを明らかにするため、脂肪細胞の分化マーカーであるPPAR_γやaP2遺伝子の発現をRT-PCRにより確認したところ、発酵乳ケフィア処理により分化マーカー遺伝子発現量の大幅な低下が確認された。以上の結果より、発酵乳ケフィアが脂肪細胞分化抑制活性を有することが示唆された。 マウスC2C12筋管細胞およびラットL6筋管細胞において、細胞のエネルギー代謝に重要な働きを持つAMP-activated kinaseの活性化状態をリン酸化AMP-activated kinaseに対するWestern blotting法により検討したところ、発酵乳ケフィアがAMP-activated kinase活性化作用を示すことを明らかにした。またマウスC2C12筋管細胞において、発酵乳ケフィアが脂肪酸β酸化増強効果を有することを明らかにした。以上の結果より発酵乳ケフィアにはAMP-activated kinase活性化を介したエネルギー代謝亢進活性物質が含有されていることが示唆された。
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