平成21年度は主に脂肪・筋肉細胞を基に抗メタボリックシンドローム評価用in vitro培養細胞評価系を構築し、構築した評価系を用い、候補の機能性食品群より抗メタボリックシンドローム効果の検索を行った。本研究課題の遂行に当たっては、脂肪細胞の機能研究に広く用いられているマウス前駆脂肪細胞3T3-L1、また筋肉細胞の機能研究に広く用いられているマウス筋芽細胞C2C12、およびラット筋芽細胞L6を使用した。 脂肪細胞分化誘導評価系において、発酵乳ケフィア由来水溶性画分中に脂肪細胞分化抑制機能を有することが明らかとなり、本活性は分化誘導初期の72時間において効果があることが明らかとなった。また分化誘導中期以降において分化抑制の効果が著しく低下していたことから、本活性の主要な作用部位は脂肪細胞分化開始シグナルのトリガーとなっている部位に作用して脂肪細胞分化抑制効果を示すものと考えられた。 筋肉細胞機能評価系において、発酵乳ケフィア由来水溶性画分は筋管細胞へのグルコース取り込み促進活性を示した。インスリンシグナル経路と本活性の関与を検討したところ、PI 3-kinaseを介したインスリン様の作用とPI3-kinaseを介さない非インスリン様の作用の二面性を持つことが明らかとなった。またAMP-activated kinase活性化を介したグルコース取り込み促進効果の存在が示唆された。 筋肉細胞機能評価系において、発酵乳ケフィア由来水溶性画分は筋管細胞における脂肪酸β酸化を亢進することが確認された。発酵乳ケフィア由来水溶性画分の処理により、活性化を介した脂肪酸β酸化関連遺伝子群のmRNA発現量の上昇が確認された。発酵乳ケフィア由来水溶性画分の脂肪酸β酸化亢進効果はこれらの複合的な作用の結果生じるものと考えられた。
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