研究課題
メタボリックシンドロームに種々の細胞のNADPH oxidaseによって生成されるスーパーオキサイドなどの活性酸素が関与していることが示唆されており、NADPH oxidaseの活性を抑制する食品成分を摂取することによって、メタボリックシンドローム発症のリスクを低減することができると考えられる。今年度は培養細胞におけるNADPH oxidase活性化機構を明らかにするために細胞外マトリックスの構成成分であるヒアルロン酸(HA)の影響について検討した。細胞はラットの繊維芽細胞である3Y1細胞及び3Y1細胞をv-H-rasにより形質転換したHR-3Y1-2細胞とその他のガン遺伝子や発ガン物質で形質転換した5種類の3Y1形質転換細胞を用いた。HR-3Y1-2細胞を含む6種類の3Y1形質転換細胞のHA合成量を測定した結果、これまでに報告されている細胞に加えて2種類の形質転換細胞におけるHA合成能が3Y1細胞に比べて亢進していることが明らかになった。これらのHA合成能の亢進が認められた細胞は、ヌードマウスにおいて腫瘍形成能を有する細胞であった。さらにこれらの3Y1形質転換細胞を低酸素条件で培養した結果、HA合成が亢進している細胞では低酸素による増殖抑制を受けやすい傾向があることから、HAはNADPH oxidaseを活性化し、低酸素培養によってHA合成が亢進した細胞における活性酸素産生を阻害することによって、これらの細胞の増殖が抑制されることが推定された。以上の結果、HA合成や細胞のHAレセプターの活性制御がメタボリックシンドロームの発症予防に有効である可能性が示された。
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In vitro cellular & developmental biology. Animal 44
ページ: 290-294
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