研究概要 |
本研究では食品中の非栄養成分の機能性を評価する目的で、肝臓や小腸における複雑な異物代謝経路を試験管内で予測するために、ヒト由来異物代謝酵素群の酵母内同時発現系を構築し、さまざまな食品機能性成分の代謝反応の解析を可能にすることを目指す。 1.ヒト異物代謝酵素同時発現系の構築 前年度までに遺伝子クローニングしたCYP及びUGT分子種の酵母における同時発現系を構築した。その過程において、UGT分子種のうちUGT1A1, 1A4及び1A9が他の分子種にくらべ低発現であったため、シグナル配列に相当する遺伝子領域の塩基配列改変を行い高発現系への改良をおこなった(特許出願2009)。ヒトCYP分子種はCYP1A2, 2C9, 2C19, 3A4を、UGT分子種はUGT1A1, 1A3, 1A4, 1A6, 1A7, 1A8, 1A9, 1A10を選定し複数の組み合わせで同時発現系を構築した。形質転換株よりミクロソーム画分を調製して発現確認をおこなった。 2.ヒトCYP及びUGT分子種の同時発現酵母株の機能評価 前述の同時発現株を用いて試験管内での種々のフラボノイド代謝過程の解析をおこなった。NADPH及びUDP-グルクロン酸存在下においてモデル化合物である6OHフラボンはその抱合体と水酸化体、さらにその抱合体へ変換をうけ酵母発現CYPとUGTが機能的に連関していることが確認され、ヒト肝臓あるいは小腸における代謝を再構築する可能性を示した。
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