ラカンカ甘味配糖体のインスリン分泌促進作用について---これまでの研究で、ラカンカ甘味成分(モグロシド類)のインスリン分泌能におよぼす影響についてラット膵臓由来β細胞株であるINS-1細胞を用いて検討し、主要な甘味成分であるモグロシドVにはインスリン分泌促進活性は見られないがそのアグリコンであるモグロールに強い活性を見いだしている。本年度はそのメカニズムについて検討し、カルシウムチャンネルが関与することを明らかにした。 ラカンカ甘味配糖体の体内動態について---ラカンカ甘味配糖体(モグロシド類)をラットに投与すると、抗アレルギー作用、糖尿病予防効果など様々な生理作用を示す。したがって、投与したモグロシド類は生体内に取り込まれているものと考えられる。そこで、モグロシド類の消化・吸収について検討した。まず、モグロシドV(ペンタグルコシド)をラットに投与すると、小腸内で部分的な分解が起こっており、モグロシドIII(トリグルコシド)が見いだされた。さらに、モグロシドII(ジグルコシド)、モグロシドI(モノグルコシド)、モグロール(アグリコン)が著量糞中に排泄されていた。また、門脈中について調べたところ、微量ではあったがモグロールが確認された。そこで、小腸モデル細胞系であるCaco-2細胞系を用いてさらにモグロシド類の吸収について検討したところ、アグリコンはよく吸収されるが、配糖体になるとモグロシドIでもほとんど吸収されないことが示された。以上の結果から、ラカンカ甘味成分を摂取すると、消化管内でアグリコンであるモグロールまで消化されると、わずかであるが体内に取り込まれることが明らかになった。おそらくこのアグリコンもしくはその代謝物が様々な生理作用を示しているものと思われる。
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