1. 抗酸化作用 高コレステロール食(4%)を与えると、血中コレステロールレベルの上昇とともに血液・組織(心臓や肝臓)の酸化的ストレス(脂質過酸化レベル)が高まることが知られている。これまでの研究で、高コレステロール食を与えたラットにラカンカ甘味成分(0.4%)を同時に摂取させると、血中コレステロールレベルには影響が見られないが、酸化的ストレスの上昇は有意に抑制されることが示されている。ラカンカ甘味成分(モグロジド類)が抗酸化に機能していると考えられるが、その構造から直接強い抗酸化作用を発揮するとは考えにくい。おそらく、モグロシド類は生体の持つ抗酸化能を高めることにより間接的に抗酸化に権能しているものと考えられる。このような仮説のもとに、生体内抗酸化物質(グルタチオン)量や抗酸化酵素(SODやカタラーゼ)の活性について検討したところ、モグロシド類の摂取で高コレステロール食に起因したグルタチオン量やSOD、カタラーゼ活性の低下が防がれることが示された。 2. 体内動態 アグリコンであるモグロールを経口投与すると、生体内に取り込まれ、1時間後には肝臓内でデヒドロゲナーゼ反応により一部オキソモグロールヘ変換されていた。24時間後にはモグロールもその代謝産物も体内に検出されなくなるが、尿中への排泄も見られなかった。次にモグロールを静脈注射にて投写したところ、経口投与と同様に尿中への排泄は見られなかった。ところが、糞中にモグロールが検出された。以上の結果から、生体内に取り込まれたモグロールは、一部肝臓で代謝を受けた後、胆汁として腸管に分泌されることが示された。
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