本研究は、電気化学的手法を使ってスクリーン印刷電極上に活性酸素(0_2^-)を発生させ不均化反応によって変換された過酸化水素(H_2O_2)をμmオーダーの微小距離に対向する電極で高効率に検出する方法を利用して、現場レベルでの抗酸化活性測定を可能にする「抗酸化活性測定システムの開発とその高感度化」である。 20年度は、抗酸化活性測定用使い捨て電極の作製、電極特性評価、測定機本体の小型化およびカテキン等標準抗酸化性物質による特性評価を行った。抗酸化活性測定用使い捨て電極の作製および電極特性評価では、これまでの研究成果をもとにポリエチレンテレフタレートフィルム上にスクリーン印刷技術を用いてカーボンインクで電極を作製し、電極表面を電気化学的に活性化することで、電極感度の上昇が認められた。また、対向させる電極間距離、および0_2^-発生電極およびH_20_2測定電極の印加電圧の検討を行い、使い捨て型システムの基本構造を決定した。測定器本体の小型化では研究協力者の(株)東科精機(臼田誠)の研究協力を受け、測定器本体の電気回路設計を行い、B5サイズの試作器を製作した。カテキン等標準抗酸化性物質による特性評価では、各種濃度のカテキン水溶液および緑茶・紅茶等の飲料を用いて、従来法であるDPPH法と比較検討を行い、良好な相関性を得ることができた。また、アルコール飲料である赤、白ワインの抗酸化活性を測定したところ、アルコールが電極応答における妨害物質となるものの白ワインに比較して赤ワインの抗酸化活性が高く、アルコール飲料でも本方法で計測できることが明らかとなった。
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