研究課題/領域番号 |
20580153
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
小見山 章 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (60135184)
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研究分担者 |
加藤 正吾 岐阜大学, 応用生物科学部, 助教 (20324288)
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キーワード | 森林の現存量 / 樹木の個体重推定 / 相対成長関係 / 地上部重 / 根重 / 共通式 / 常緑広葉樹 / 落葉広葉樹 |
研究概要 |
森林の現存量や一次生産量を推定する際に、樹木個体重に関する情報を得ることが必須要件となる。相対成長関係は、測定が容易な幹直径などから地上部重や根重などを計算する手段である。ところが、通常使われている相対成長関係は、林分や樹種により分離する傾向を持っている。相対成長関係を決定するための野外作業は非常に労力を要するので、すべての森林でそれを決定することはできない。本研究では、樹形法則を構造的・力学的に求めた既往のパイプモデルと静力学モデルに基づいて、我が国の温帯林を構成する樹木について、場所や樹種による分離が少ない相対成長関係が存在するかどうかを検討した。岐阜県の冷温帯林2カ所で、1990年から2010年にかけて19種81本の樹木を伐倒して地上部重を調べ、それらを含む11種19本について根系を掘り根重を求めた。このデータと比較対照するために、他の研究者が公表した照葉樹林、ブナ林、スギ人工林、カラマツ人工林における地上部重と根重を解析に用い、汎用性の高い共通式を誘導した(地上部重W_<top>=0.0001995ρDBH^<2.452>、根重W_R=0.00009651ρDBH^<2.223>)。広域かつ多様な樹種による共通式は、その推定値に地上部重で13.84%、根重で19.00%の相対誤差を含んでいた。これらの相対誤差は、通常の相対成長式を使う場合より小さく、それぞれの場所で作成した相対成長式を使う場合と比較できる数値であった。本研究による共通式は、広く温帯林で現存量や成長量を求める際に、大がかりな伐倒調査を免除されることや、推定値の再現性を高めることで有力な手段になる。
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