研究概要 |
昨年度より沖縄県西表島の船浦湾の干潟に、地盤高が異なる二カ所の植林プロットを設け、それぞれのプロットにオヒルギとメヒルギを植林した。毎月樹高測定を行い、プロット別の樹高成長速度を比較したところ、地盤高が低く湛水頻度が高いプロットでは、地盤高が高く湛水頻度が低いプロットに比べてオヒルギの樹高成長速度が優位に速く、メヒルギの成長速度は双方のプロットで優位な差が認められなかった。このことから、オヒルギとメヒルギでは湛水ストレス耐性に対する生理的適応が異なることが示唆された。すなわち、オヒルギの無酸素呼吸能力はメヒルギのそれよりも高くなく、その短所を補うために湛水頻度が高いプロットのオヒルギの樹高成長速度が早まったと考えられる。 マングローブの代表的樹種であるヤエヤマヒルギ、オヒルギ、メヒルギ、ヒルギダマシを材料とし、無気呼吸に関連するアルコール発酵関連遺伝子(ADH,PDC)並びに乳酸発酵関連遺伝子(LDH)とエチレン合成関連遺伝子(ACS,ACO)のクローニングを実施した。その結果A凪LDH,ACS,ACOの部分配列を全ての樹種で取得することが出来た。現在これらの配列情報を用いてサザンブロッティング解析を進め、各遺伝子のコピー数の確認を行っている。遺伝子配列を用いて遺伝子発現解析とサザンブロット実験の結果を現在解析中である。一方で、全体的に末端部分の配列取得が難航していることと、公開配列情報の不足によりホモローグの取得が難航しているため、新たに完全長cDNA配列を取得する方法を検討している。
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