研究概要 |
奈良県春日山照葉樹林に設置された面積13haの固定調査区において,胸高直径5cm以上のウリハダカエデ個体すべてを調査対象とした.調査対象個体の開花j状況を4月~5月に,結実状況を10月~11月に,樹冠を双眼鏡で観察して評価した. 2009年においては,ほとんどの繁殖個体の性表現は単性であること,オス個体,メス個体,両性個体,非開花個体の割合はそれぞれ,74%,16%,8%,2%で,オス個体の割合が高いことが分かった.すべての調査対象個体には,アルミバンド製デンドロメーターを取り付け,幹の肥大生長量の測定した.成長量の大きい個体は,特にオス個体で多く見られた. 胸高直径15cm以上の個体のうち,なるべく調査区の中央付近に生育している30個体を選び,その樹冠下にリタートラップを設置し,トラップからは定期的に繁殖器官および種子を回収した.回収した種子からはCTAB法によりDNAを抽出した.繁殖器官は60℃で72時間乾燥させ,重量を測定した.また,母樹の樹冠下に1m×20mの実生観察枠を設け,実生の追跡調査した.多くの実生は発生から半年以内に死亡あるいは消失した.
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