研究課題
北海道の森林生態系における地球温暖化等の環境変動に伴う異常の早期発見・対応を図る上での基盤の一つとなることを目的に、森林生態系の主要構成者である樹木を摂食する昆虫について、(ア)特に悪影響が危惧される外来種の現時点での北海道における種構成・分布域・宿主等の実態の解明、(イ)外来・在来昆虫の発生の異常性及び分布拡大を検出・評価できるよう、形態・生態的特徴、被害様式やこれまでの被害推移、並びに分布域または被害発生地域等に関するデータベースの構築を進めた。1990年代に北海道に侵入したヨーロッパ原産のイチイカタカイガラムシが函館市で確認され、ほぼ全道的に広がったことが明らかになった。本州からの侵入種と考えられるマツノゴマダラノメイガ、コブシハバチ、オオルリコンボウハバチの北海道内における宿主や生活史の知見を得た。北海道の森林・樹木昆虫のデータベースの全体構成、データベース化する内容・表示方法等を検討し、データベース化を進めた。なお、データベースはホームページで容易に閲覧できるよう、htmlファイルで作成している。最近道内で被害が確認されるようになったカンバルリチュウレンジの形態的特徴、生態等を取りまとめ発表した。樹木昆虫の被害診断に必要な幼生期や被害の写真、形態・生態に関する文献等の収集・整理を行い、既存のデータベースに掲載されている種の修正(約50種)やデータベース未掲載種の追加(5種)を行った。北海道における樹木害虫に関する1966〜1987年までの20年分の被害報告を電子ファイル化し、害虫の種ごとに年度別の被害発生市町村・被害面積を整理した。
すべて 2008
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Bulletin of National Science Museum, Tokyo, Ser. A 34
ページ: 141-155