研究課題
北海道の森林生態系における地球温暖化等の環境変動に伴う異常の早期発見・対応を図る上での基盤の一つとなることを目的に、森林生態系の主要構成者である樹木を摂食する昆虫について、(ア)特に悪影響が危惧される外来種の現時点での北海道における種構成・分布域・宿主等の実態の解明、(イ)外来・在来昆虫の発生の異常性及び分布拡大を検出・評価できるよう、形態・生態的特徴、被害様式やこれまでの被害推移、並びに分布域または被害発生地域等に関するデータベースの構築を進めた。1980年代に北海道に侵入したヨーロッパ原産のキンケクチブトゾウムシによる林業用苗木被害が国内で初めて発生した。2000年代に本州・九州で発見された北米原産のハリエンジュハベリマキタマバエが北海道内にも生息することを確認した。本州原産の国内外来種の可能性が高いナラフサカイガラムシの道内における発生を確認した。北海道の森林・樹木昆虫のデータベース化を進めた。これまで道内では被害記録がなかったニレチュウレンジの形態的特徴・生態・被害等を発表した。北海道におけるナギナタハバチ科・ヒラタハバチ科・ミフシハバチ科・コンボウハバチ科の樹木害虫について被害診断に関する形態・生態等の基礎情報、これまでの被害面積・発生地域、防除方法を取りまとめ発表した。樹木昆虫の被害診断に必要な幼生期や被害の写真、形態・生態に関する文献等の収集・整理を行い、既存のデータベースに掲載されている種の修正(約60種)やデータベース未掲載種の追加(35種)を行った。北海道における樹木害虫に関する1951~2007年までの被害報告の電子ファイル化を完了した。
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北海道林業試験場研究報告 47
ページ: 51-68
Bulletin of National Museum of Nature and Science, Series A 35
ページ: 249-275