研究課題
◆植食性小型哺乳類に対する針葉樹の化学的防御に関する二次代謝物を化合物レベルで検索する目的で、数種の針葉樹樹皮の有機溶媒抽出物をクロマト分析した。クロマトグラム上のピークの保持時間、高さ、面積を解析し、既往の報告と比較することにより、化学的防御に関する候補物質を確認した。一部の物質群においてクロマトグラム上の分離の度合いが低かったため、溶媒pHに対する溶解性の差に基づいて、抽出物を数画分に分離したところ、各物質の分離が向上し、単離精製がほぼ可能であることを確認した。各画分より候補物質を効率的に単離するために、順相担体-有機溶媒系および逆相担体-有機溶媒・水系などのクロマトグラフによる分離に関して条件検討を行った。一部の物質の単離については、溶媒のイオン強度を調製する必要があった。また、再結晶法に関する溶媒選択などの条件検討の結果、各画分よりいくつかの候補物質をグラム単位で単離精製することが可能となった。◆植食性小型哺乳類に対する針葉樹の化学的防御物質を特定するための生物操作実験に使用する目的で、得られた候補物質を木質系粉砕物に所定量含浸させたのちに、ペレット状の人工飼料にするための成形器具の製作を試みた。鋼材から試作した金型形状、木質系粉砕物の粒度および充填量、圧力、時間などの成形条件について検討した。植食性小型哺乳類を用いて当該試作人工飼料について予備的検討を行い、摂食量などの評価結果より、生物操作実験において適当なペレットが得られることを確認した。
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Journal of Wood Science 55(1)
ページ: 32-40
http://www.fpri.asahikawa.hokkaido.jp/dayori/index.htm