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2010 年度 実績報告書

樹木の分子系統と動植相互作用系に着目した化学的防御と投資配分機構の実証的研究

研究課題

研究課題/領域番号 20580166
研究機関地方独立行政法人北海道立総合研究機構

研究代表者

関 一人  地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 森林研究本部林産試験場・利用部, 主査(成分) (20446313)

研究分担者 折橋 健  地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 森林研究本部林産試験場・利用部, 研究主任 (60446292)
キーワード化学生態 / 針葉樹 / 植食性小型哺乳類 / 植物二次代謝物 / 生合成 / 植物成長 / 代謝コスト / 種分化
研究概要

◆ユーラシア大陸に分布するカラマツ属の分子系統に基づく種および変種と、植食性小型哺乳類であるタイリクヤチネズミとの地理的分布の共通性の有無が、カラマツ属の樹脂成分組成の変異性におよぼす影響について検討した。東京大学北海道演習林の樹木園において、種または変種ごとの複数個体の枝から樹皮を採取し、ガスクロマトグラフィー-質量分光分析装置を用いて、タイリクヤチネズミに対する被食抵抗性物質を含む樹皮中の樹脂成分組成を分析した。カラマツ属の分子系統において、種間の樹脂成分組成の変異性は、種内の変種間のそれと比較して、高い傾向を示した。タイリクヤチネズミと地理的分布が共通するカラマツ属の種および変種では、共通しない種および変種と比較して、樹皮における樹脂成分の含有量およびそれに組成される被食抵抗性物質の割合は高い傾向を示した。ユーラシア大陸に分布するカラマツ属における樹脂成分の生合成代謝に基づいた化学的防御の進化的獲得と、カラマツ属とタイリクヤチネズミなどの植食性小型哺乳類との地史的な地理的分散における動植相互作用の有無との関連性が示唆された。◆カラマツ属の分子系統に基づいた化学的防御と投資配分機構を明らかにする目的で、被食抵抗性物質を含む樹脂成分の生合成代謝コスト、樹脂成分の変異性、樹木の成長速度から投資配分関係について検討した。カラマツ属の分子系統の樹種および変種において、樹脂成分の樹皮における含有量と成長速度には、負の相関関係の傾向が認められた。この一因として、樹脂成分はその生合成過程において、他の二次代謝物と比較して多数の還元反応を伴うために生合成代謝コストが高価となることから、成長を抑制することが考えられた。このことから、カラマツ属の化学的防御と成長との間にはトレードオフの関係が存在することが示唆され、植物防御戦略に関する最適投資配分理論と符合することが考えられた。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2010 その他

すべて 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [学会発表] Chemical defense of terpenoids in boreal conifer against herbivorous vole.2010

    • 著者名/発表者名
      Seki, K., Orihashi, K., Saito, N., Nakata, K.
    • 学会等名
      26th Annual Meeting of International Society of Chemical Ecology.
    • 発表場所
      Tours, France
    • 年月日
      2010-08-02
  • [学会発表] Disposition of defensive and nutritional substances in the bark of Larix gmelinii var.japonica in chemical defense.2010

    • 著者名/発表者名
      Seki, K., Orihashi, K.
    • 学会等名
      British Ecological Society, Annual Symposium 2010 : The integrative role of plant secondary metabolites in ecological systems.
    • 発表場所
      Brighton, UK
    • 年月日
      2010-04-12
  • [備考]

    • URL

      http://www.fpri.hro.or.jp/gijutsujoho/default.htm

URL: 

公開日: 2012-07-19  

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