研究課題/領域番号 |
20580167
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研究機関 | 独立行政法人森林総合研究所 |
研究代表者 |
北村 系子 独立行政法人森林総合研究所, 北海道支所, 主任研究員 (00343814)
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研究分担者 |
河原 孝行 独立行政法人森林総合研究所, 北海道支所, グループ長 (70353654)
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キーワード | オクヤマザサ / 実生更新 / 自殖 / マイクロサテライト / 部分開花 / 休眠打破 / ササ属 / 体細胞突然変異 |
研究概要 |
交配様式分析用の種子は2006〜2007年に開花したオクヤマザサ由来のものを採取し保管してあるものを用い、休眠を低温処理によって打破する作業を行った。これらのサンプルからDNAを抽出し、分析用試料の準備を整えた。また、交配様式の年変動を明らかにするために、2008年に開花結実したササ集団について、稈ごとに種子を採取して同様に発芽前処理を行っている。一方、野外のササ自然集団について2003年より調査を継続しているササ開花固定プロットで追跡調査を行った。開花した稈は全て枯死し、新しいシュートの発生が見られた。また、2年前に開花結実した自然落下種子からの発芽が確認され、自然集団でササの実生更新が行われている事実が明らかになった。更新した実生についても分析用の試料として各シュートから葉組織を採取し、DNA抽出を行った。自然集団において更新した実生をマイクロサテライトマーカーを用いて分析した結果、実生個体は1個体を除いて自殖由来種子と考えられる。自殖由来の種子で期待される対立遺伝子の分離比には偏りはなく、発芽段階での自然選択圧はほとんどないことが示唆された。また、親個体とは異なる対立遺伝子については1座のみで観察され、2bp変異であったことから、外部からの遺伝子流動であるかあるいは突然変異によるものかは、今後慎重に検討する必要があろう。オクヤマザサの自殖性が示されたことによって、他のササ属における部分開花でも自殖が行われている可能性が高いことが示唆される。また、自殖種子の発芽が確認され、自殖によって更新が行われている実態が初めて明らかになった。
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