研究概要 |
本研究では、研究代表者の所属機関が保有する開花・結実に周期性を有する正常クローンと周期性が失われた変異クローンについて、花芽形成関連遺伝子群(CO, FT, FLC, EBSなど)の遺伝子多型を解析し、豊凶が失われた原因となる遺伝子変異をつきとめることによって、ブナの周期的な開花・結実の豊凶のしくみを分子レベルで解明する。また、本研究を通して、COからFT遺伝子への情報の流れを軸としたブナの光周性花成制御経路とその制御機構を明らかにし、本研究で得られた遺伝子多型解析の結果から、選択圧がもたらす遺伝子変異や生理学的変化について進化的観点から考察することを目的として研究を進めてきた。 平成21年度は、ブナCO遺伝子の機能についてさらに詳しく調べるため、シロイヌナズナCO欠失変異株ヘブナCO遺伝子を導入するためのベクター構築などの準備を進めた。 また、ブナFT遺伝子のゲノムDNAの単離に成功し、遺伝子多型の解析を進めているが、全長が約5.5kbpと巨大なためか、3'側のサブクローニングがうまくいかない。したがって急遽、弘前大学の施設を利用してSNPs解析による遺伝子多型の抽出実験を計画した。さらに、RT-PCRによってmRNA全長を単離同定し、mRNAの発現を指標として季節変化・日周変動の解析を進めている。しかし、COと比較してFTの発現量がかなり低く、リアルタイムPCRで安定した結果がなかなか得られていない。したがって、現在至適条件を模索中である。
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