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2008 年度 実績報告書

広葉樹の通水組織において季節的に堆積・消失する壁孔閉塞物に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 20580171
研究機関北海道大学

研究代表者

佐野 雄三  北海道大学, 大学院・農学研究院, 助教 (90226043)

キーワード広葉樹 / 壁孔 / 道管 / 道管相互壁孔 / 走査電子顕微鏡
研究概要

平成20年度内には、大きく3項目の実験を実施した。第一に、道管相互壁孔の季節的な閉塞が広葉樹(木本の被子植物)のなかでどれだけ広く美通する現象なのかを明らかにするため、モクレン群から真正キク綱2群にわたる被子植物の広範な分類群から計12種を選び、休眠期に採取された辺材外層の試料を走査電子顕微鏡(SEM)で観察した。その結果、トネリコ属(モクセイ科)で見られる季節的な道管閉塞は、今回調べた12種のいずれにも認められなかった。この季節的な現象は、かなり限られた分類群にだけ生じるものである可能性が強い。第二に、マイクロインジェクション法による道管相互間の壁孔壁の透水度の測定を行うための準備と予備実験を行った。現在のところ、本実験の実行に不可欠の先端径が数10〜100Fmのガラス管を再現性よく作製することが難しく、たとえガラス管をうまく作製できても道管に挿入した後に流体漏洩を防ぐ処理もまた再現性よく行うのが難しいなど、計測以前に克服すべき実験手技上の問題がある。この方法を考案したハーバード大学のグループに尋ねたところ、この実験に最も必要なことはpatienceとのことであったので、まずはこれまで以上に時間を費やして手技を習得したい。第三に、壁孔閉塞物の化学的性状を予備的に調べた。この実験は、計画では21年度に実施する予定であったが、前倒しで着手した。その結果、壁孔閉塞物は極性の有無に拘わらず有機溶媒にはまったく溶解しないこと、弱酸で除去されること、紫外線吸収を示さないことなどが明らかになった。これまでほとんど研究例がなく、化学成分や生理機能がまったく不明であった道管相互壁孔の季節的閉塞現象について、少しずつ実体が明らかになりつつある。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2009

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 広葉樹材における管状要素間壁孔の構造と機能2009

    • 著者名/発表者名
      佐野雄三
    • 雑誌名

      木材学会誌 55

      ページ: 119-128

    • 査読あり
  • [学会発表] 通水に寄与する木部繊維の構造的な特徴2009

    • 著者名/発表者名
      佐野雄三
    • 学会等名
      第59回日本木材学会大会
    • 発表場所
      松本市、松本大学
    • 年月日
      2009-03-15

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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