研究概要 |
スギはわが国固有の樹種であり,建築材や生活用具などに利用され,わが国独特の木の文化を支えてきた代表的な木材である。スギの利用はこれまで製材用が殆どを占めているが,近年では,構造用合板や中大断面集成材,造作用LVLや構造用LVLなどの新たな利用も試みられている。 本研究は今後利用発展が大いに期待されている構造用スギLVLに着目し,その被削性を明らにする目的から,とくに丸鋸加工におけるチップソーの摩耗特性を明らかにするものである。平成20年度にはスギの他にパーティクルボード,OSB,MDFなどの各種木質材料の切削の場合と比較した。平成21年度の研究にはチップソーの刃先角を60゜,65゜,70゜,75゜の4段階に変化させて刃先角の適正値を明らかにした。 平成22年度は超硬合金材質の異なるチップソーを準備して構造用スギLVLの丸鋸加工を行い,超硬合金材質によるチップソーの刃先摩耗差異を調べた。実験結果から,刃先摩耗の進行はK30>K05>K01の順であり,刃先が硬いほど歯先摩耗の進行は遅くなった。とくに最も硬いK01において刃先の欠損が見られなかったことから,スギLVLの鋸断加工におけるチップソーの材質はK01が適切と判断された。 以上のような構造用スギLVLの丸鋸加工におけるチップソーの超硬合金材質による刃先摩耗の比較は既往の研究ではこれまで全く見られず,本研究によって超硬合金材質の異なるチップソーの刃先摩耗から見た構造用スギLVLの被削性を明らかにすることができた。
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