研究概要 |
天然から選抜した石油分解菌(選抜菌)を用いて、以下の結果を得た。 1. 選抜菌を用いたPAH(ベンゾピレン)汚染土壌(濃度1ppm)の浄化条件を検討した。その結果、栄養源無添加では20%(30日処理)の分解率であったが、栄養源及び界面活性剤を添加することにより分解率は向上した。栄養源(シイタケの里)、界面活性剤(Tween 80)添加により、分解率は各々70%、76%(30日処理)に向上した。 2. 選抜菌を用いてC重油汚染土壌の浄化について検討した。選抜菌のC重油分解能を液体培養で調べた結果、高濃度(15000ppm)でも各々19%、30%分解できることを見出した。そして、選抜菌によるC重油汚染土壌(1000,15000ppm)の浄化を試みた。栄養源無添加では僅かな分解率であった(約15,10%)。浄化条件を検討した結果、木粉添加により分解率が向上することを見出した(60,43%、60日処理)。現在、浄化条件の精査を行っている。また、塩分を含んだ原油汚染土壌の浄化も考慮し、海水でも成育出来るPAH分解菌(糸状菌1種)を新たに選抜した。なお、スラリー状態での処理では菌と重油の接触がうまくいかなくて殆ど分解は出来なかった。 3. 選抜菌を担体(粒状活性炭)に担持させた微生物製剤を調製し、PAH(クリセン)汚染土壌の浄化を試みた。浄化条件を検討した結果、栄養源添加(グルコース)によりPAHが分解(58%,30日処理)できることを見出した。 4. 選抜菌から抽出した粗酵素から固定化酵素製剤の作成について検討した。酵素製剤により、PAH(クリセン)が分解できることを見出した。酵素製剤を用いたPAH(クリセン)汚染土壌の浄化について検討中である。
|