H22年度は、21年度までに得られた成果を基に、研究目標である木材接着における最低・最適塗布量の解明や機能性接着の可能性検討を行い、以下のような結果を得た。 ・IJ法微量塗布接着に及ぼす被着材表面性状の影響を検討した。カバの表面仕上げを超仕上げかんな盤、自動かんな盤、#240および#120のサンダー仕上げと変化させ、塗布量5g/m^2にて試験を行った結果、木破50%を基準にして表面性が接着に及ぼす影響はそれほど大きくないこと、より実用的なアカマツおよびスギのロータリー単板を用いた試験で、要求性能はカバのソード単板に比べ低く、木破に十分な接着性能を得る条件は緩和されることなどを明らかにした。 ・パターン塗布による接着制御を目的とし、欠膠と接着点が定量的に得られる45°斜線パターンによる塗布実験を行い、5g/m^2の塗布量があれば、規則的な欠膠が生じる条件下でもカバ材でほぼ100%の木破が得られることを明らかにした。このことは、パターン塗布によるさらなる接着剤低減の可能性および微量塗布の接着性能発現機構を明示するものと考えられた。 ・IJ塗布にフェノール樹脂以外の接着剤を適用するため、p-MDIを用いて希釈方法や希釈倍率の検討を行った。p-MDIは非水系の接着剤のため、希釈にアセトン、酢酸エチル、塩化メチレンを用いて実験を行ったが、有機溶媒により装置の腐食などが発生し、いずれの条件でも噴射できなかった。一方で、パターン塗布により欠膠の存在が接着性能低下の絶対条件ではないことが明らかになったことから、IJ法以外の方法によっても同様の接着が得られる可能性があることが明らかになった。 H23年度は、主として22年度3月に行うはずだった研究協力者との実験結果に関する打合せを行うとともに、研究結果の取り纏めを行い、得られた知見の一部について学会等で発表した。
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