研究概要 |
抗腫瘍活性に富むが水に難溶であるβ-1,3グルカンを、高温高圧水による加水分解反応によってオリゴ糖に低分子化し、水可溶化させる技術の検討を進めた。高温高圧水処理には、エスプレッソコーヒーの製造に用いられるマキネッタ抽出法を適用した。この抽出法によれば、β-1,3グルカンは低分子化して水可溶となると同時に加熱系外に排出されるため、過度の低分子化や熱分解を抑えることができる。 数種類の市販マキネッタ抽出器を生薬であるブクリョウからのβ-1,3グルカン抽出に適用した結果、120℃以上の高温水を発生させることができ、5分程度の短時間抽出が可能であった。また、抽出液の分析の結果、約2〜4割が単糖であるグルコース、約5〜7割がオリゴ糖、約1割が高分子量のβ-1,3グルカンから構成されていた。 マキネッタ抽出法とソックスレー抽出法を比較したところ、いずれのマキネッタ抽出器も、ソックスレー抽出に比べ全糖収率、全糖濃度が高かった。これは、ソックスレー抽出が最高でも100℃の温度しか達成できないからである。 マキネッタ抽出法では、抽出温度の上昇とともに、全糖量、濃度、ならびに全糖量に占めるβ-1,3グルカンの含有割合が高くなった。しかし、過度の昇温はβ-1,3グルカンの含有割合を下げ、過分解の発生が示唆された。抽出効率は温度に関係しており、最適温度が存在すると考えられる。最適条件を探索することで、さらに効率よくβ-1,3-グルカンを抽出できると考えられる。
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