研究概要 |
中国産木材の有用材のみならず低木、つる性植物など多様な樹種1000種につき、これまで記載や写真記録のなかった顕微鏡的特徴を総合的に調べるとともに精度の高い顕微鏡写真を撮影して写真記録をとり、木材学のみならず、森林文化学、考古学、美術史学など幅広い分野および本データを必要とする他の方々への利用に供するため、本研究課題では中国産木材の顕微鏡的特徴に関するデータベースを構築することを目的としている。 本研究を完成させるには以下の項目が主要点となる。 1.信頼のおける中国産木材試料を入手すること 2.独自に顕微鏡標本(プレパラート)の作製をおこなわなければならないこと 3.中国産木材の顕微鏡的特徴に精通しているプロジェクトメンバーが必要なこと 4.中国語および英語で顕微鏡的特徴の記載をおこなわなければならないこと 5.中国産木材約1000樹種の記載および顕微鏡写真の撮影をおこなわなければならないこと そのために、これまで毎年のように中国人研究者を招へいし、研究課題を進めている。 本年度は南京林業大学の李大綱教授、潘彪教授、駱嘉言副教授の3人の中国人協力者を招聘し、それぞれ樹種別に109種,109種,116種の顕微鏡的記載をおこなった。本研究の完成後に得られた資料の出版を予定しており、国際的に通じる書籍であると同時に中国産の木材を扱っているので英語と中国語の2カ国語で記載を進めている。一方、残り1名の東北林業大学の崔永志副教授が昨年度に196樹種の標準となる顕微鏡標本の作製をおこない新たに多くの顕微鏡標本が加わったので、これらについても記載を進めている。今後、研究代表者がこれら樹種別記載につき、標準顕微鏡標本や既往の出版物を参考にして、完成度の高い内容にする予定である。
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