近年、資源量減少が著しいカワヤツメの河川生活期における個体群減少の要因と結果を明らかにする目的で、野外生態調査とマイクロサテライトマーカー座を用いた集団遺伝学的解析を行った。その結果、本種幼生の生存にとっては河床での軟泥の十分な堆積および餌として利用可能な落葉リターに由来するデトリタスの豊富な存在が重要であり、一方、産卵遡上成体の繁殖成功には30-50cmの水深を有する産卵床環境が存在することが重要であることが判明した。そして、集団遺伝学的解析結果から、石狩川水系のカワヤツメでは近年において遺伝的多様性が低下していることが見出された。これらの結果を基に、本種の個体群サイズの回復に必要な河川環境改善に関する施策を提言した。
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