東北地方太平洋沿岸のエゾパフンウニの生殖周期を明らかにするために、岩手県広田湾の水深0.5〜1mにおいて、殻径35mm以上のエゾパフンウニ成体を毎月10個体ずつ素潜りで採集した。採集したウニの殻径、体重、生殖巣重量を測定し、生殖巣指数(生殖巣重×100/体重)を求めた。また、生殖巣の小片を20%ホルマリンで固定し、常法に従ってパラフィン包埋して6μm厚の切片を作製し、マイヤーのヘマトキシリンとエオシンで二重染色した。そして、生殖細胞の形成過程から回復期、成長期、成熟前期、成熟後期、放出期の5つの発達段階に区分した。生殖巣指数は、9月〜10月に20以上のピークへ達し、11月に4未満へと急激に低下、3月以降水温の上昇にともなっで上昇する年周期を示した。生殖巣の発達段階は生殖巣指数の変化に対応して、9月〜10月に成熟後期の個体が優占、11月に放出期へと移行、1月〜2月に回復期、3月〜5月には成長期が占めた。広田湾のエゾパフンウニは北海道日本海と同様に、水温が20℃から13℃へと低下する10月に年1回産卵することが明らかになった。
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