研究概要 |
1.全国各地10地点から採集した成魚耳石サンプルについてICP-AESを用いて6つの微量元素(Sr,Na,Zn,Mn,Fe,Mg)の発光強度を測定した。判別関数分析により10地点のサンプルを関数値から地理的な整合性のある7つのグループに分類することができた。中でも相模湾と燧灘については、他のサンプルとは明瞭に異なる元素組成を示した。 2.2006年4月〜2007年7月に、相模湾でほぼ毎月、計12回にわたって本種を採集した。各サブサンプルについて前項と同様に処理し、耳石中の各元素およびCaの濃度を推定した。Mn,Mg,Srの季節変化から4つの季節グループに大別できた。相模湾には夏と冬に高いMn/Ca比を示す回遊履歴の異なる個体群が出現することが分かった。 3.カタクチイワシの未成魚および成魚をいくつかの条件の下で飼育し、耳石微細輪紋に標識を導入して、微細輪紋の日周性についての検証と、餌および水温の影響について調べた。これより、冬季の低水温下では不明瞭になるが、カタクチイワシの未成魚・成魚期の耳石に明瞭に見られる輪紋は日周輪であることがわかった。また、輪紋間隔は餌環境の影響を受けることがわかった。
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