研究概要 |
1.成魚期における耳石微細輪紋の日周性の水温による影響を調べるために、15℃と12℃の一定水温で飼育実験を行った。ALCによる二重染色法によりその間の経過日数と輪紋数を比較した。その結果体長10cmを超える成魚期に於いても15℃では輪紋間隔が非常に狭くなるものの日周性を確認できた。一方。12℃では輸紋構造は不鮮明になり、輪紋数を読み取ることは困難であった。冬季には15℃以下の水温を実際に経験することがあり得るので、冬季を経たと想定される個体で輪紋構造が不鮮明な部分がある場合には齢査定には注意が必要であることがわかった。 2.太平洋系群として、相模湾、銚子沖、常磐沖、道東沖、本州東方沖合の5地点、ならびに比較のために対馬暖流系群に属する長崎沖の標本を用いて、ICP-AESによりSr,Na,Zn,Mn,Fe,Mgの6元素を分析した。系群の異なる長崎沖標本の元素組成はほかと完全に区別された。太平洋系群においても78%が元素組成により採集地点が判別できた。6元素の中ではMnとSrが判別に寄与していた。本州東方沖合域標本はほかの海域と区別された。誤判別は太平洋岸の互いに近い地点であった。多くの個体は南北、東西に広く回遊せず、一部が近接海域と交流していると考えられる。
|