研究概要 |
本年度では、ホタテガイ軟体廃棄物を弱酸水溶液で洗浄する際に生じた高濃度Cdを含む洗浄合液の処理方法を検討し、以下のことが明らかになった。 1、キレート繊維の添加量および処理時間の検討:酢酸洗浄合液およびNaOH水溶液でpH=5に調整したクエン酸洗浄合液にキレート繊維を1~4%加え、2又は5時間撹拌した。(1)何れの処理条件でも、窒素量の損失が見られなかった。(2)5時間処理した場合、クエン酸洗浄合液中のCdが90%、酢酸洗浄合液中のCdが93%以上除去され、残留したCd濃度は何れも0.37ppm/N1%以下であった。(3)2時間処理した場合も、クエン酸洗浄合液中のCdが87%、酢酸洗浄合液中のCdが91%以上除去され、残留したCd濃度は0,44ppm/N1%以下であった。 2、キレート繊維の連続使用回数の検討:キレート繊維添加量は1%、処理時間は2時間で処理した。その結果、同じキレート繊維で5回連続処理した場合、処理済液に残留したCdが何れも0.19mg/kg以下であり、キレート繊維はそのまま5回連続使用できることがわかった。 3、使用済キレート繊維の再生条件および最大利用回数の検討:その結果、20倍2M塩酸で処理してから更に40倍水で2回洗浄した後、40倍のpH=6のNaOH水溶液で5分間処理すると、キレート繊維の処理能力がほぼ100%回復できた。連続5回使用・再生処理により同じキレート繊維が約25回利用できることがわかった。 4、Cdを含む最終廃液の処理条件の検討:使用済キレート繊維を再生する際に生じたCdを含む最終廃液に重金属捕集剤を60mg/kg、補助凝集剤PACを0.5%、高分子凝結剤を0.1~0.04%加えてから遠心分離した。その結果いずれの上澄みに残留したCdは排水基準(0.1mg/L)をクリアでき、高分子凝結剤の添加量は0.04%でも対応できると示唆される。
|