研究概要 |
仔稚魚は,湾奥部河口域に圧倒的に集積し,そこでは魚類,動物プランクトン共に特産種が優占し,魚類,特に特産種の成育場は河口域に形成されていた.30年前の本明川では,仔稚魚群集は,現在の湾奥部河口域と,極めて類似していた.しかし,出現する発育段階に差がみられ,湾奥部河口域では殆ど生息しない魚種も多数出現し,有明海全体の多様性が窺われた.湾奥北東部の矢部川では,潮流はさほど発達せず,濁度も低かったが,冬季での沖合産卵由来で,河口域を成育場とする魚種は,矢部川に集中していたことから,湾奥部へ仔魚を運搬する有明海の恒流が弱くなった可能性が示唆された.
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