研究課題
I型インターフェロン(I-IFN)はウイルスに対する免疫反応において必須の役割を果たすとともに、広く細菌感染においてもマクロファージやナチュラルキラー細胞の活性化、Th1反応の誘導といった多様なメカニズムによって免疫賦活作用を発揮する重要なサイトカインである。本研究では、昨年度コイからクローニングしたI-IFN遺伝子の機能について解析を行った。コイからクローニングしたI-IFN遺伝子の機能を解析するために、小麦胚芽を用いたin vitroの系を用いてタンパク質の合成を行った。この合成したI-IFN(CL-1)を、コイの腎臓の細胞に作用させ、Mx遺伝子の発現について検討を行った。さらに、ほ乳類ではインターフェロンを誘発することで知られているCpGを用いてこれらの遺伝子の発現についても検討を行った。小麦胚芽の系を用いて、分子量21kDaのI-IFN(CL-1)タンパク質を合成することが出来た。このタンパク質(100ng)をコイの腎臓の細胞に作用させた結果、1時間後に8倍のMx遺伝子の発現の上昇が観察された。その後、このMx遺伝子の発現は減少し、48時間後には平常値に戻った。従って、今回合成したI-IFNタンパク質は、ほ乳類と同様な抗ウイルス作用があると考えられた。さらに、この遺伝子は、腎臓の細胞をCpGによる刺激によって、発現の上昇が観察された。昨年度、コイから2種類(CL-1,CL-2)のI-IFN遺伝子をクローニングした。本研究では、その中のCL-1遺伝子の機能を検討したが、今後CL-2についても同様に検討をする必要がある。
すべて 2009
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)
Molecular Immunology 46
ページ: 2548-2556