研究概要 |
平成20年度では,各月原則として3日間,東海大学所属の北斗(20トン)を用い,駿河湾内の定点で魚類プランクトン調査を実施した。採集層は近底層が水深200→900mと500→900m,水柱が表層,10→100m層,100→200m層,200→350m層,400→800m層,800→1400m層である。使用したネットは,表層を除いて口径1.3mのリングネット,表層では1.3×1.2mの角型ネットである.これらの網目の大きさは0.53mmである.表層と10→100m層を除いて,すべて閉鎖器を取り付け,曳網層以外からの混入を防ぐようにした.近底層の曳網方法は年々改良され,海底上約3mからの曳網が可能になり,曳網中のネットの浮上も数mで抑えられるようになっている.近底層からは,ニギス目セキトリイワシ科のナメライワシLeptoderma lubricum,駿河湾初記録のヤセナメライワシLeptoderma retropinnumの仔稚魚がほぼ毎回採集されており,これらの初期生活史の解明に貢献できる試料が得られている. 以前の駿河湾の水柱調査および西マリアナ海域で採集されたニギス目デメニギス科のヒナデメニギス属仔魚の同定を確実に行うために,十分に記載されていないDolichopteryx anascopaのholotypeをZMB(ベルリン,フンボルト大学自然史博物館)に行って調べた.その結果,駿河湾のものはDolichopteryx minuscula,西マリアナのものはD. anascopaと同定された.後者の形態については,平成21年度に投稿する.平成20年度では,1編の論文がIchthyological Researchに印刷された.
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