研究課題
平成21年度は以下の実験を行い成果を得た1) カイコにおける新規ヒラメリポカリン(TBT-bp2)組換え体の作製と大量発現・精製ヒスチジンタグ融合ヒラメリポカリン遺伝子をもつトランスファーベクターを作製し、このベクターによりバギュロウイルスのゲノムをもつ大腸菌を形質転換させることにより、Bacmid(バギュロウイルスプラスミド)にヒラメリポカリン遺伝子を導入した。作製したヒラメリポカリン-Bacmidをカイコガの細胞e21にトランスフェクションし、バギュロウイルスを増殖させ、ウイルスを回収してカイコガの腹腔内にインジェクションし、4~5日飼育後、血液を採取し、アフィニティークロマトグラフィーにより発現ヒラメリポカリンを大量精製に成功した。2) 組換え体ヒラメリポカリンの細菌に対する静菌活性とシデロフォア結合性の検討表記内容を行うため、鉄欠乏条件下で大腸菌の培養条件を検討した。しかし、鉄のコンタミが起こり、安定した培養系を作製することができなかった。魚病細菌Edmardsiella tardaシデロフォアに対する結合性の検討するため、E.tardaの培養を検討したが、鉄欠乏培地の作製が困難であった。3) 組換え体ヒラメリポカリンrTBT-bp1の結合性とその機能の検証得られたrTBT-bp1は分子量約35,000であり、TBT結合能を持つこと、およびリポカリンスーパーファミリーに特徴的な構造を有していることを示した。さらに、ヒブナ(Carassius auratus)鱗骨芽細胞における骨形成の指標であるアルカリホスファターゼ(ALP)活性を指標としてrTBT-bp1によるレスキュー試験を行った。その結果rTBT-bp1を共存させるとTBTによるALP活性阻害が抑制された。よってTBT-bp1はヒラメ体内でTBTと結合することによりその骨形成阻害を防いでいると考察している。
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Toxic interactions between tributyltin and polychlorinated biphenyls in aquatic organisms(Springer)2009(Ed T.Arai et al(eds.), In "Environmental Impact of Antifouling Biocides)
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Chemosphere (Accepted, 印刷中)
http://www.agr.kyushu-u.ac.jp/biosci-biotech/kankyo/index.html