無脊椎動物のコラーゲンには難溶性であるものが多いため、コラーゲンの可溶化率を増すためにペプシンに代表されるプロテアーゼを用いた限定分解を行う。しかし、多くの二枚貝類についてコラーゲンをペプシン消化に供すると、α鎖の相対的減少が起こるなど、顕著な電気泳動パターンの変化を生じる。つまり、二枚貝類コラーゲンには三重らせん領域においてプロテアーゼ感受性部位が存在するなど、他動物にはほとんど見られない興味深い特性を有することが推測される。本研究では、これに関わる基礎的知見を集積することを目的として、まずプロテアーゼ消化に供していない生来の構造をもつコラーゲン(インタクトコラーゲン)ならびにペプシン可溶化コラーゲンを構成する各コラーゲン分子種およびα成分を単離し、さらに免疫化学的手法を用いて分解されるコラーゲン分子種および構成α鎖の同定を行う。
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