研究課題/領域番号 |
20580226
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山本 康貴 北海道大学, 大学院・農学研究院, 教授 (90191452)
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研究分担者 |
馬奈木 俊介 東北大学, 環境科学研究科, 准教授 (70372456)
近藤 功庸 旭川大学, 経済学部, 准教授 (20305874)
笹木 潤 東京農業大学, 生物産業学部, 准教授 (00339087)
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キーワード | 気候変動 / 環境分析 / 農業経済学 |
研究概要 |
地球規模で将来的にも増大が見込まれる食料需要をいかに満たすかを考えて行くうえで、地球温暖化に伴う気候変動と農業生産に及ぼす影響を経済評価しておくことは、重要な研究課題である。この研究課題の解明に接近すべく、本年度は以下の分析を試みた。1.前年度までに構築した日本稲作のデータベースにくわえ、都道府県別の気候要因データベース、ならびに都道府県別の農地面積や生産農業所得などの経営経済要因データベースを構築した。2.構築した都道府県別の気候要因データベースと経営経済要因データベースを利用し、気温上昇が日本の生産農業所得に及ぼす影響を、シミュレーション分析により解明した。分析の結果、ある一定程度まで気温が上昇した場合、1(1)日本農業全体として見ると、農地面積当たりの生産農業所得は、増加する可能性がある点、(2)地域別に見ると、北海道や東北などの日本北部では農地面積当たりの生産農業所得が増加する一方で、九州などの日本南部では農地面積当たりの生産農業所得が減少する可能性がある点など、が示唆された。(3)ただし、本予測モデルは、気候変動に対し、農業経営者が農業所得を最大化するように適応行動できると仮定しているため、農業経営者が気温上昇にうまく適応行動できない場合の予測結果は、本研究の予測結果とは異なる可能性に留意すべき点も示唆された。3.日本における稲作生産性が停滞しているとの作業仮説を、生産性の地域別貢献度分析と経済収束分析で検証した。(1)地域別貢献度分析の結果、減反以前は、東北が日本全体の稲作生産性向上に最も影響を及ぼした地域であったが、減反以降は、東北が日本全体の稲作生産性停滞に最も影響を及ぼした地域であることが明らかとなった。(2)また、経済収束分析の結果、わが国稲作生産性の地域間格差は縮小傾向にあることが明らかとなった。
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