研究概要 |
今年度は自営増加型地域の典型である北海道噴火湾のホタテガイ養殖地帯で,若年漁業就業者(自営漁業後継者)が,地区漁協の弾力的な漁場利用再編方策によって確保されている実態を調査・検証し,漁業経済学会で報告しその内容を同学会誌に投稿し掲載された。特に中規模家族労作型経営を多数維持しつつ,若年層の参入及びそのライフサイクルに応じた弾力的養殖漁場配分を行っているY地区で若年層が多数確保されていることを明示し,若年層を確保・育成するために漁場利用権の弾力的再配分が必要であることを明らかにした。また,全国各地で新規に漁業へ参入した若年漁業就業者に対してアンケート調査を実施し,自営増加型と雇われ増加型を対比する形で若年層の意識状況を分析・検討した。その結果,若年層が収入の多寡以上に仕事のやりがいや事故の存在意義を重視していること,それ故技能研修や主体的・組織的な青年組織の取組等に関する政策的支援が特に求められていること,自営漁業の後継者確保のみならず,雇用導入型の企業的・組織的経営体が若年層参入の受け皿として重要な役割を演じていること等が明らかとなった。また,そうした研究成果は地域漁業学会等で発表しており,学会誌・地域漁業研究にも投稿する予定である。
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