■加工用農産物フードシステムの操業度分析 沖縄・南大東島のサトウキビ生産の生産・出荷・加工のモデル分析を以下の手順で行った。(1)圃場ごとの生産成果に関するGISデータベースを作成して、地理的条件、かん水施設の有無、肥培管理の内容が土地生産性(単収、糖度)に与える影響について、パネルデータ分析を利用した計量経済学的検討を行った。特にかん水の利用によって単収は大幅に向上すること、そしてそれは施設の設置費用を上回る効果があることが確かめられた。(2)圃場から製糖工場までの搬入ルートについてGPS機器を用いて計測し、ロジスティックス情報の把握を行った。(3)10年間の日別のサトウキビ搬入、加工作業状況についてデータの整理をして、降雨による操業中断の頻度について定量的な把握を行った。南大東島は大型機械化が進み作業効率は大きく向上したが、ハーベスターの重量がありすぎるために、降雨の場合に収穫作業を停止せざるを得ない確率が手刈りに比べて格段に高くなる。サトウキビ生産・加工システムとして効率性の評価は、その中断リスクも含めながら行う必要のあることが明らかになった。 ■契約野菜生産・流通のサフライチェーンマネジメント分析 長崎県ながさき南部生産組合における特別栽培農産物生産の展開過程について聞き取り調査を実施して、生鮮農産物のサプライチェーンにおける技術的条件、販売先ルートの分散とリスク管理上の課題を整理した。その際に生産物の品質向上と計画通りの出荷体制の確立のために、組合員のコミットメントを高めるためのインセンティブ構築の重要性が明らかにされた。
|