1)CSAと産消提携における主体条件・客体条件の差異 前年の調査によって、CSAは、産消提携より後発であり、より現実適応が高いと予想されたが、逆に、より原理主義的な産消提携の運営方法を徹底する形が多く見られた。提携原理は生産活動支援のために消費者により負担の大きい購買活動を強いるものであるが、そうした購買行動を継続している要因は、有機農産物の流通環境という客観的条件よりも、参加者の主体的な条件の差であるという仮定を導出し、実態調査を継続した。 こうした購買行動を維持するために、CSAもしくは産消提携は、消費者側の負担を補填するための運営の仕組みを備えており、実践現場における多様性も高いものである。一方で、衰退傾向を続ける日本の産消提携は、この消費者の購買行動を支える仕組みの構築に失敗しているか、もしくは仕組みの維持資源が不足していることが考えられ、当年度の到達段階としては、後者を想定して今後の事例収集の必要が明らかとなった。 2)CSAの形成条件の一つとしての食品循環資源を利用した農産物の有効性に関しては、生ごみ堆肥化活動を行うNPOが有機農業の実践に進みつつある事例を中心に調査を行った。 行政の下請け作業になりがちな生ごみリサイクル活動を、行政支援なしに実践・継続し、リサイクル製品としての堆肥をさらに農業資材として活用する有機農業を実践することで、生ごみの排出者をCSAの会員として組み込めるはずであるが、現実には販路の開拓に困難が見られる。農業者支援ではなく、リサイクルシステムの維持を消費者に訴えることが可能な取り組みにおいても、相互依存的な関係構築には依然として困難が存在することを確認した。
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