昨年度行われた湖南省での農村調査結果を、ミクロ計量経済学的なアプローチで、農家行動と法的規制の関係をさぐること引き続き行った。さらに本年は農家の集団行動における人治と法治の関係としての合作社形成の実態を明らかにした。その対象として、山東省での現地調査を行う。6月に、カウンターパートである山東省・青島農業大学の調査協力者1名を京都大学に2週間招へいし、岡山県の農協、京都府の農協、ならびに滋賀県の農協を共同で調査して、日本の農協の現状と中国の合作社の相違点を明らかにして、調査表のデザインを作成した。これをもとに、9月に中国農村での合作社の調査を行った。山東省の、合作社、地方政府機関、村委員会に対し、農地流動化における土地法規の運用、また、商品作物の販売に関する法規の保護、および食品加工原料の契約生産に関する契約内容、契約方法の実態に関する調査を行った。中国人留学生(大学院生)1名を調査補助者として同行させ、現地での調査を共同で行っている。さらに3村を選定し、各村で農家に対して調査票に基づいて、法治と人治、特に農地流動化に関する意識調査を面接において行う。帰国後に、3月までに、聞取り調査結果、調査票への回答結果から、数量解析によって現場での問題点を探り出している。
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