本年度(22年度、最終年)は、これまで行ってきた、インド、パキスタン、タイ、マレーシア、インドネシア、台湾の6カ国について、最近の農業政策動向についての国別報告を取りまとめるとともに、それぞれの国について計測した生産者支持推定量の相互比較検討を行い、計測手法の統一やデータの修正・アップデートを行って、最終的な統合推定表を策定した。 これらの統合推定表から得られる、各国のPSE(生産者支持推定量)、CSE(消費者支持推定量)、GSSE(一般サービス推定量)、TSE(全体支持推定量)、NPC(名目生産者保護係数)の推移及びその政策タイプ別構成の変化を計量的に分析した結果、これらアジア主要国の農業政策について次のような知見が得られた。(1)これら諸国の生産者支持水準は低く、台湾を除きプラス・マイナス10%程度に収まる、(2)先進国と異なり、生産者への移転が負になることも多い。(3)90年代のアジア危機による為替変動と2008年の国際価格高騰が水準に影響。(4)価格支持政策が最も大きな影響を与えているが支持価格水準が国際価格とあまりかい離していないため、マーケットには中立的。(5)肥料・電気料など投入補助金も多く、負の価格支持を相殺する形になるケースが多い。 これらの成果の概要(暫定)は、H22年11月末OECD本部で開催された世界農業フォーラムで発表した。またH23年2月には主要執筆者を招いて明治大学でワークショップを開催し、最終的検討と成果の公表を行った。なお、主要成果は本研究のパートナーであるアジア生産性機構から、近日中に英文で発表する予定である。
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